2002.10.30
Appleの CM
最近話題になっていた Appleの CMを見た。
退いてしまった。
なぜかは見た人ならわかるだろう。
別段、Appleのコンピューターが悪いわけではないが、あそこまで言うのもなんだと思う。
それに、名指しはしていないが、あきらかに Windows搭載コンピューター相手の話だ。
そりゃあね。Windows搭載コンピューターが不安定で、Appleのコンピューターが安定しているという意見にも一理はある。が、Windows搭載コンピューターも安定しているし、Appleのコンピューターも不安定になる場合が多々ある事も確かだと思う。
Windows搭載コンピューターが不安定な要因は、OS自体の問題という面も否定は出来ないが、真に大きな原因はハードウェアの種類が多い、その上ドライバーの出来が様々、という事であると思う。
Appleのコンピューターとの大きな違いはその点である。
Appleのコンピューターはご存じの通り、Appleだけである。もちろん、サードパーティの拡張ボードや周辺機器はあっても、コンピューター本体、つまりマザーボード等のコンピューターの基本部分に関する限り、一社提供である。
これが Windows搭載コンピューターになると、コンピューターの基本部分からいろいろなメーカーのいろいろな型番の、つまりどの程度の物なのかは、サードパーティからすると全く判断出来なくなっている。
そして、それぞれの互換性を保つための規格はあるが、どの程度規格に準じているか、どの程度逸脱しているかは、実際に調べてみないとわからない。また、規格にしても標準化という道の試行錯誤で、ある程度の大きな幅が出来てしまっている。その幅のお陰で、こっちの端とあっちの端では大きく特性が変わるという事が起こる。
また、CPUも Intelだけではなく、AMD等いくつかの互換と呼ばれる CPUと、互換性が無いチップセットが搭載されているのだ。
そのせいで、これとこれの組み合わせは動作しません、等のように相性という問題も出てくる。
相性がはっきりわかる場合(全く動かない等)なら良いが、時々おかしくなる等、特定の条件が重なった時だけおかしくなる、となると、すぐにはわからないし、再現性も少なくなってしまう。
もし、ハードウェアの問題であっても、まず疑われるのは Windowsという OSの方だ。次にドライバーになって、ハードウェアの問題(相性を含む)とわかるのは最後になる場合が多い。なぜなら普段は動いているから。
Appleのコンピューターの場合は、そういう事が非常に少なくなっている。
当たり前の話だが、コンピューター自体が単一で、規格にも準拠しやすいからだ。
もちろん、インターフェースボードなどはボード自体とそれに繋ぐ周辺機器の相性が出てくる場合がある。だが、Appleが作ったものに準じていれば、だいたいはうまくいく。Appleの作った機械が標準というわけだ。いくらかの個体差があっても、基本的に同じ物が動く。
Windows搭載コンピューターの場合は、はっきり言えば、非互換である。PCIバスや AGPバスなどの拡張バスに互換性があったとしても、それを駆動するチップセットは互換性がない。そしてその為に、Intelなら動くが AMDでは動かない、等という事が起こる。すべてを完全に Intel互換にしてしまえばそういった事も少なくなるだろうが、それでは他のメーカーのアドバンテージとなる部分が無くなってしまう。価格で勝負するだけではいつか負けてしまう。で、非互換ではあるが、性能で勝負するために、各社いろいろ工夫をする。そうするとその非互換の部分が問題になる。
市場での競争による発展という面で見れば、Windows用コンピューターの方が優れている。各社がいろいろ工夫を凝らして、安くて性能の良い物を作る事になるからだ。
ただ、それが非互換部分を産み、非互換部分があるがゆえに相性問題等が発生し、Windowsの OS自体が不安定になるような事が起こってしまう。
もちろん、OSだけ見ても、WindowsMeまでの WindowsOSは、はっきり言って不安定だ。というか、普通に使っていても不安定になる要素が多い。不安定にならないような使い方は出来るが、不安定になる場合が多い。
WindowsNT系列の OSの場合は、不安定になりにくい。OSという面だけで見れば、非常に安定している。
ハードウェアが絡んでくる、また、アプリケーション自体が不安定な場合がある、ということで、全体的に不安定になる場合が出てくるのだ。
Windows9x/Me系列と WindowsNT系列の2本があった事も不安定な原因の1つだ。特に Windows98が出るまでは世の中は MS-DOS(PC-DOS), Windows3.1, Windows95の3つが動いてた。MS-DOSと Windows3.1が同系列に近いので、Windows3.1/95用とWindows95専用という2種類のアプリケーションが氾濫した。また、ハードウェアにしても、ドライバーが Windows3.1/95用とWindows95専用という感じで存在した。
そして、Windows3.1/95用のアプリケーションは WindowsNTでは不安定になるか動かない場合が多かった。それは、Windows3.1が MS-DOSを引きずっているからで、Windows95が Windows3.1を引きずっていたからである。
Windows95用と書いてあっても、DOSを引きずっている物も数多く存在した。
WindowsNT4.0が登場し、Windows98が登場して、やっとかなりのアプリケーションやドライバーが DOSや Windows3.1の資産を捨て始めたのだ。
かといって、Appleの OS9以前や OS10が安定しているかというと、そうでもない。OS9以前は OSの問題によって不安定になる場合が多かった。また、アプリケーションもそれ自体が不安定なものであれば、OSごと落ちるような問題が多々発生した。
OS10になって、根本が UNIXになった事により、OS自体の安定性が増した。また、今までに粗悪なアプリケーションがある程度淘汰される事によって、OS10用のアプリケーションが増える事によって、かなり安定した環境が作れる事も確かだ。
OSが落ちていると判断してしまいやすい物の1つに、ビデオボードがある。
残念な事に WindowsNT4.0からはビデオドライバーがカーネルモードで実行されるために、ビデオドライバーの出来が悪いと、OSごと落ちてしまうようになってしまいました。それより前の WindowsNTでは、ビデオドライバーが落ちても、キー操作で終了する事も出来た。WindowsNTの信頼性はカーネルモードではシンプル(I/Oインターフェース等)で安定したドライバーを使い、サードパーティやマルチメディア等はユーザーモードで動かしていて、ユーザーモードで不安定になっても直接 OSカーネルに影響はない、という形をとっていたところです。WindowsNT4.0からはパフォーマンスアップの関係から、各種ドライバーがカーネルモードで動くようになって、OS自体が不安定になりやすくなってしまいました。Windows9xの収束を図るためにとった処置でしょうが、開発者にとっては頭の痛い事になりました。
まあ、これは余談だ。
というわけで、一般のユーザーから見ると、どっちでも一緒、だと思う。
日本で売っているWindows搭載コンピューターメーカー品の場合は、要らないアプリケーションが山とインストールされていて、それが不安定になる要因にもなっているが、必要最低限のアプリケーションインストールの場合、MacOSが安定しているだの何だの関係ないぐらい Windowsも安定している。
どちらにしても、OSを不安定にさせる要因の多くは、ハードウェア、ドライバー、アプリケーションである。
どの OSも最小構成で起動した場合は安定しているだろう。そして、いくつかアプリケーションをインストールしたり、ハードウェアを追加したりして、だんだんと不安定になっていくのだ。
昔の NEC PC-98シリーズを思い出して欲しい。
すべて純正品にした場合、非常に安定していた事を。
あのころ相性があったといえば、サードパーティ製の SCSIインターフェースと周辺機器ぐらいではなかっただろうか。
それでも本当に一部だけだったと思う。
MS-DOSだった事もあるだろうが、Windows3.1も非常に安定していた。
リセット押さないといけない場面は、アプリケーションがおかしい動作をした時ぐらいだ。
OSが複雑になっているとはいえ、Apple製コンピューターも同様の事が言えると思う。
適切な設定の出来ないユーザーが増えた事も、不安定になった原因の1つだろう。
応答が悪くなるのが自分が原因にもかかわらず、それを OSのせいにする。
特にネットワークに繋がったコンピューターの場合、そういう事が多い。
適切な設定は、MacOSだろうが WindowsOSだろうが関係なくある程度の知識を必要とする。
それを生半可な知識で、もしくは全く知識がないのにやろうとするから失敗するのだ。
長くなりすぎて書くのに疲れてしまった。(^_^;
同じ事を何度もくどくど書いている。
全く吟味していないから、まるで会話のような感じになってしまった。
あまりにもあの CMが露骨で偏見に満ちあふれたものであるので、前にも書いたような事を書いてしまった。