2003.2.24

 オープンソースは誰が得をするのか?

 まず、オープンソースとは何か?を考えてみる。本来の意味は明らかなように、ソースコードが公開されていて、誰でも閲覧・コピー可能だということだと思う。
 そして問題になるのは、それをどう利用するかということだ。プログラムの話ではなく、オープンソースライセンスの扱いについてのことだ。オープンソースと呼べるのはオープンソースライセンスに準拠した場合だ。それ以外はオープンソースではない。
 では、オープンソースに準拠するということはどういう制約を受けるのだろう。

 全部訳すのは面倒なのと英語力のなさから不正確になりかねないので、省く。意訳だが、上記はたぶんそんなには間違っていないと思う。

 さて、そこでだ。オープンソース自体でビジネスになるかどうかというと、全くビジネスにはならない。それは当たり前のことだが、ソース自体が無料で手に入るからだ。
 では、なぜ、オープンソース化を進めようとするのか?
 最近の風潮としては、やはりイメージが優先しているのではないかと思う。
 オープンソースに限らず、オープンな経営、オープンななんとか、という感じで、オープンという言葉を入れることによる、企業イメージアップをねらっているのではないかと思う。
 もちろん、自社のすべてのプログラムをオープンソースにはできない。そんなことをすれば、誰も有料で手に入れようとは思わないからだ。ライセンス料なども取ってはいけないので、特許をとることはできても、それに関してのロイヤリティを取ることはできない。
 で、現状のような、一部のみオープンソース等と言う、意味があるのかどうかわからないやり方をするのだ。ただ、オープンソースといってもオープンソースライセンスに準拠していないので、このような場合は、ただ単に「制限付きソースの公開」ということになる。

 ここまでくると、簡単に考えても、ソフトウェアメーカーの場合はオープンソースライセンスにするメリットはほとんど無いと言える。
 ソフト自体では全く利益が上がらず、開発本やハウツー本の様な、周辺だけがビジネスになってしまう。
 メリットを享受できそうなのは、ディストリビューターや出版社やパソコンメーカーなどの、現在でも、それらのソフトを2次的に利用して利益を上げている奴らだ。また、回り回って、目先のお金だけで見ると、最終的なユーザーもメリットになるかもしれない。
 では、そうなった場合、どうなっていくか。ソフトメーカーはソフト開発だけでは利益を上げることができないので、別に利益を上げるものを考えなければやっていけない。そんなことをしているうちに、主力は別の仕事をし始める。肝心のそのソフトはその会社での優先順位は低くなる。気がつくと、その会社はソフト会社ではなくなったりする。
 上記は極端だが、ソフトウェア開発だけで利益を上げているメーカーはオープンソースライセンスやオープンソースにするということ自体、通常考えられない。ソフトをライセンスすることで利益を上げているのだから、そのソフトが無料になったり、少しの改変で同じものが出回っては困る。営利目的の企業がそんなことできるわけがない。
 現在、オープンソースだのなんだの言っているのは、ほとんどがハードメーカーだ。自社のメインはハードウェアを売ることであって、その上で走るのはなんでも良い。要は自社ハードを買ってもらえばいいからだ。ハードメーカーにとって、ソフトウェアはハードを売るための手段・おまけである。

 フリーソフトやオープンソースソフトを作っている人たちだって、それ自体が本職ではなく、別にお金を稼ぐところを持って、その余力でフリーソフトやオープンソースソフトを作っている。
 彼らだって、商用ソフトウェア自体を否定する気もないだろうし、すべてをオープンソースソフトにしなければいけないとは思っていないだろう。
 ソフトウェアメーカーと全く関係のない職業に就いていて、趣味でフリーソフトやオープンソースソフトを作っている人間の場合は、もしかすると、浅はかにもすべてフリーソフトやオープンソースソフトにしなければいけない、とか考えているやつがいるかもしれないが。

 結局、ソフトウェアにとってオープンソースにすることが良いかどうかは別にして、ソフトウェアメーカーにとっては、オープンソースにすることが生死に関わる重要な点で、何も考えずに報道して世論をあおるようなマスコミにも問題があるよねえ、と思いますね。
 オープンソースにした場合の状況を考えずに、オープンソースにしろだのオープンソースライセンスに準拠しろだのなんだの言うのはやめてくれ。
 各国政府オープンソースの利用に動き出したとか、IBM等の大企業がオープンソースを指示する流れになっている、だの、表面上の話だけするから、一般人は「世の中オープンソースがトレンディ」とか何とか思ってしまうのだ。オープンソースになるとどうなるかをもっと考えさせる特集を組めよ。

 さて、現在のところ、オープンソースで一番得をしているのは、記事ネタに困っているパソコン雑誌かもしれない。